A級保存版。リクエスト盤

JOG




「うぉーい!今日は良い天気だな。ヒロ、ひとっ走りしようぜ!」と車庫の中で誘うように俺を見るパートナーのJOG!

俺もそれに答えるかのようにキーを入れエンジンをふかし、走る。

彼と初めてパートナーになったのは高校3年の八月の終わりだった。原付の免許を取り、親父から譲ってもらった。

初めて乗った時「俺、JOG!大切に扱ってくれよ。よろしくな」と言ったんだろうな。結構、一緒に遠くに行ったよな。雨降った時は俺達、ずぶ濡れだったよな。だけど家に着いたら笑い飛ばしたよな。「あの雨、最悪!」って!失恋して泣いた時も一緒だったな。思いっきり飛ばしてな。どこまで走ったっけJOG?俺、忘れちゃったよ。そうそう初めてコケた時の事を覚えてる?俺、覚えてんだよ。座間の友達の家の近くのガソリンスタンドの近く。ほら、サラサラした砂が、ばらまかれてたじゃん。思い出した?あんとき痛かったよなぁ。あんときゴメンな。俺、下手だったからさぁ。君に謝ることは、たくさんある。車の教習所に通ってた頃、嫌な先公に当たって上手くいかなくてヤツ当たりしちゃった事。ゴメンね。ついカッとなっちゃて。酔っ払って君を置き去りにして電車で先に帰った事。冬の中・・・ごめんなさい。寒かったでしょ。それと俺が軽自動車を買ってしまった事。君は嫉妬したような目で見てきたね。俺も一早く気づいて君と軽を両方同じくらい乗った。君は、その条件で許してくれたね。ありがとう。

でも今は・・・もう半年になるか・・・君と走ってないね。ごめん。だけど君は車庫で会うと「よぉー元気?たまには一緒に走ろうぜ。」と明るく問い掛けてくる感じ。でも、俺は無視している。ごめん。君は壊れてるんだ。直しても無駄なんだ。俺が悲しい目で見ると優しい君は「どうした?何かあったか?何か言えよ。俺たちパートナーじゃん。」と言う。うん、俺たちパートナーだよな。仲の良い。だけど、君は直らない。
ありがとうJOG・・・ごめんなさい。

2002


© Rakuten Group, Inc.